1. Future Interests(将来権)とは
Future interests とは、たとえばOがAのために甲土地について life estate を設定した場合、Aが死亡すれば甲土地を保有する権利はOに戻る。このとき、OはAへの life estate の設定と同時に「将来土地を保有する権利」を持っていると理論構成し、このようなOの権利を「future interest」という。Future interest は将来どこかの時点で必ず present possessory interest に転換することが予定されている。上の例では、もともとOが甲土地に fee simple absolute を有していて、他に特別な設定文言を付さなかった場合には、OはAの死亡後再び fee simple absolute を保持することになる。
Future interests の性質は、それに先立つ present possessory interests が何であるかに左右され、基本的にその観点で分類されている。したがって future interest (将来権)を理解するためには present possessory interests (現在権)の理解が前提となるので、適宜 present possessory interests の解説を参照して頂きたい。
(※) Future Interests を理解するためのコツ
Future interests を理解するのに当たっては、コツがいくつかある。
- 名称に惑わされない
Present possessory interests にも同じような問題があったが、名称から類推される内容と、実際の権利の内容とが異なっていることがある。しかも、用語法は必ずしも一定せず、学者によって多少異なる用語を用いていたり、時には異なる分類の仕方をしていたりするので、あまり細かい呼び名にこだわらない方が理解が早いと思われる。
- 重要な分類を先に理解する
Future interests には多くの種類があるが、分類の一番重要な目的は Rule Against Perpetuities(権利の帰趨がいつまでも確定しない将来権を無効にするためのルール)の適用があるかないかを判断することである(適用があると、場合によってはその future interests が無効になることがあり得る)。したがって、future interests を見る時には常にこの Rule Against Perpetuities の適用を意識しておくのがよい。一方で、future interests の分類の中には、名称だけの違いであったり、一応権利の内容に違いがあるものの Rule Against Perpetuities との関係では区別がなされないものも少なくない。そうしたものについては、ひとまず理解を後回しにしておくのが早道だと思われる。
- 日本語訳に頼らない
これは present possessory interests のときと同じで、たとえば remainder を「残余権」と訳してみてもあまり理解に役立たないどころか、executory interest との違いを誤解することにもなりかねない。したがって、日本語訳は理解の役に立つ限りで適宜利用するのにとどめておくのがよいと思われる。
2. Future Interests の分類
Future interests は、権利の譲渡人自身が保持するものと、譲受人側(直接の譲受人だけではなく譲渡人以外の全ての人を含むと言った方が正確なため、ここでは「譲受人”側”」と表現している)が保持するものの、大きく2つに分かれる。全体像は次のとおりである。
Future Interests の分類
譲渡人が保持するもの
1. Reversion
2. Possibility of reverter
3. Right of entry または power of termination
譲受人側が保持するもの
4. Remainder
(Indefeasibly) vested
[Somewhere in between]
Vested subject to (complete) divestment
Vested subject to open (または vested subject to partial divestment) *
Contingent *
5. Executory interest *
* は Rule Against Perpetuities の適用を受けるもの。
3. Life estate または Leaseに続く future interests(Reversion と Remainder の違い)
まず、OがAに設定した present possessory interest が life estate の場合、Aが死亡した後の権利の移転先には2通りがあり得る。
パターン1: "To A for life(, then to O)." (Aに life estate を設定し、Aが死亡したらOの下へ復帰することとする。)
パターン2: "To A for life, then to B." (Aに life estate を設定し、Aが死亡したらBの下へ移転することとする。)
この場合で、パターン1のOが保持する future interest を「reverter」、パターン2のBが保持する future interest を「remainder」という。ちなみに、パターン1では「To A for life.」とだけ言った時点でAの死後Oに復帰することが明らかなので、「(, then to O)」は普通記載されない。
なお、パターン1、2とも、OがAに設定した権利が life estate ではなく lease であったとしても、上記の説明はそのまま当てはまる。これは、life estate と lease は権利の終了時点が人の死亡か期間の経過かという違いはあるものの、「誰にもどうすることのできないいつか必ず訪れる事由」によって画されるという点では共通しているからである。人の死亡と期間の経過は、まとめて「natural termination」と表現される。先立つ present possessory interest が人の死亡か期間の経過かによって future interest を区別取り扱いしないのは、どちらもいつか必ず訪れる事由であって、それに続く future interest はいつか必ず present possessory interest になり、権利の帰趨が不安定な状態にはならないからである(したがって、Rule Against Perpetuities で制限を設ける必要がない)。このことは、次の defeasible fee に続く future interest を見ていくとよくわかる。
4. Defeasible fee に続く future interests
OがAに設定した present possessory interest が、たとえば「その土地が図書館として使われている限りにおいて」という消滅条件の付いた defeasible fee であった場合(defeasible fee のうちのどれか、というのは一旦措いておく)、Aが条件に違反した後の権利の移転先には2通りがあり得る。
パターン3: "To A so long as the Land is used for library purposes(, then to O)." (Aに fee simple を設定するが、土地が図書館の目的で使用されなくなったら、Oの下へ復帰することとする。)
パターン4: "To A so long as the Land is used for library purposes, then to B." (Aに fee simple を設定するが、土地が図書館の目的で使用されなくなったら、Bの下へ移転することとする。)
この場合で、パターン3のOが保持する future interest を「possibility of reverter」、パターン4のBが保持する future interest を「executory interest」という。ところで、この場合に元々設定されていた present possessory interest は defeasible fee のうちの何だったのかというと、「so long as」の語が用いられているので「fee simple determinable」なのだが、パターン4ではAの権利が第三者であるBに持って行かれる(「cut short」される、と表現する)関係にあるので、そのような present possessory interest は「fee simple subject to executory limitation」と呼ぶことになっている。まとめると、パターン3ではAが present possessory interest である fee simple determinable、Oが future interest である possibility of reverter を有し、パターン4ではAが present possessory interest である fee simple subject to executory interest、Bが future interest である executory interest を有している。なお、パターン4のOは何の権利も有していない。
もし、パターン3が次のように設定されていたらどうなるか。
パターン3’: "To A, but if the Land is used for any purpose other than library purposes, then to O." (Aに fee simple を設定するが、土地が図書館の目的以外で使用されたら、Oの下へ復帰することとする。)
この場合、Aの present possessory interest は、消滅条件の部分が「so long as」ではなく「but if」で書かれているので、fee simple determinable ではなく fee simple subject to condition subsequent である。そして、この場合のOの有する future interest も、名称を区別して「right of entry」または「power of termination」と呼ぶことになっている。もっとも、Oの future interest が possibility of reverter なのか right of entry なのかは対応する present possessory interest に起因する呼び名の問題に過ぎない、つまり Rule Against Perpetuities との関係では区別がされないので、あまり強く意識しておく必要はない。(私が教わったロースクールの授業でも、学生がこの両者を混同して回答しても教授は特に問題にしていなかった。教授曰く、"boring classification" とのこと。)
ちなみに、パターン4がパターン3’同様にもし次のように設定されていたとしても、A、Bの権利の呼び名に違いは生じない。このあたりの用語法が今ひとつ一貫しないところが、future interests の理解を難しくしている一因だという気がする。
"To A, but if the Land is used for any purpose other than library purposes, then to B." (Aに fee simple を設定するが、土地が図書館の目的以外で使用されたら、Bの下へ移転することとする。)
Future interest が executory interestであるとほぼ100パーセント Rule Against Perpetuities の適用を受け、権利が無効になる可能性にさらされるので、future interest が executory interest なのかそれ以外であるかどうかの区別は非常に重要となる。