QLOOKアクセス解析

2013年12月13日

LL.M.留学準備 - LL.M.入試のスケジュール

アメリカのロースクールの場合、出願時期が結果に影響する程度が大きいため、早めにスケジュールを立て、計画的に出願手続を進める必要があります。多くの人の場合、TOEFLの点数がなかなか上がらないので、それに引きずられて出願も遅くなりがちですが、準備事項の中にはいつでもできることが多くあるので、そうしたものを片付けながら、TOEFLの点数の上がり具合と相談しつつなるべく早期に出願する、というのが基本戦略になると思います。

(1) 大まかなスケジュール

例: 2012年秋学期入学を目指す場合

<出願目標1> 2011年10月1日
人気校は10月〜11月に締め切りが設定されているか、あるいは第一段階選抜の締め切りが設定されている場合が多いので、まずは10月1日に出願ができるように準備を進めます。
 ↓
<出願目標2> 2011年中〜2012年年明けすぐ
多くの大学の締め切りは1月半ばから4月〜5月あたりまで各校様々に定められています。アメリカのロースクールは Rolling Basis(*)という日本の大学に多い一斉選抜とは異なる方式を採用している場合がほとんどなので、一見締め切りまでまだまだ時間があるように見えても、現実的なタイムリミットはおそらくこの頃だと認識しておくべきです。
また、渡米のための諸準備にかかる時間や手間を考えても、2月ないし3月には留学先が決まっていると比較的無理が少なく準備ができるので、遅くても年明け〜1月中には出願を済ませておくのがよいです。
 ↓
<出願目標3> 2012年4月〜?
どこの大学でもよいからとにかくLL.M.へ留学を、ということだと、実はそのデッドラインはほとんどないに等しいかもしれません。公式な締め切りが4月や5月に設定されていれば、その頃までは一応合格の可能性があります。ただし、行きたいところへ行けない、渡米準備に無理が生じる、といった可能性が生じることは言うまでもありません。

(*)Rolling Basis: その時点での志願者の中から優秀と思しき志願者へ順次合格を出していく方式。


(2) 各準備事項の目標時期

1) LSACのアカウント開設

2011年当時で最早LSACなしでの出願は考えられませんでした。多くの大学がLSACの利用を推奨しており、今後その傾向が途絶えるとも考えられません。LSACのアカウントは2011年当時で2年間有効だったので、まずこれを早く開設しておくに越したことはないと思います。アカウントの開設とは言っても、オプションサービスの登録や支払い等、多少の手間を要します。各校の締め切りが近づく中で英語を読みながら手続を進めるのはなかなかしんどいので、早いうちに手続きを始めておくことをおすすめします。

2) エッセイ(志望動機、自己アピール)

一般的には、夏頃の完成を目指しつつずるずる遅れて出願までにようやく完成、というパターンに陥りがちなのですが、実は書く材料さえあればエッセイはいくらでも早く書くことが可能です。出願する大学も決まらないうちに、と最初はとまどいますが、多少の違いはあれ、エッセイの要求事項(内容・形式とも)は各大学とも非常に似通っています。したがって、500単語程度のものを一つ作成しておけば、大半の大学へは使い回しができてしまいます。また、多少要求事項の異なる大学へ出願することになったとしても、一つエッセイを作成していれば、それをアレンジすることで作成が可能となります。書く材料については、自身の学習経験、実務経験、今後のキャリアプランがその内容の中心となるので、数ヶ月後回しにしたからといって内容が変わってくるものでもありません。

3) 推薦状

推薦状もエッセイにほぼ準じます。特別にその大学にターゲットを絞った内容の推薦状を用意することもできますが、通常は、宛先を特定せず、内容も特定の大学を前提としない形での推薦状を3通用意しておけば、ほとんど事足ります(ただし、少なくとも1通は大学教授)。となると、志望大学が確定していない段階においても、だいたいどのあたりを志望するのかが推薦者に説明ができる程度に頭に描けていれば、推薦状の用意は可能です。大学教授などだと非常に忙しくなかなか返事をもらえないこともあるので、エッセイ同様早くに準備を進めておくのがよいです。

4) TOEFL

現実的にはTOEFLの成績が出願を遅らせる一番の足かせになるかもしれません。とはいえ、実は、出願後にもし良い点数が出ればそれも大学に送って勘案してもらえる場合が多いので、あまり神経質に出願を控える必要はないものの、あまりにどうしようもない成績を送ってしまうと一早く不合格通知が来ることにもなりかねません。様々な考慮要素の中で、TOEFLは比較的大きなウェイトを占める考慮要素のようですので、この点の戦略については、TOEFLの点数と合否の相関関係についてデータを持っている受験指導校を頼るべきだと思います。
posted by Porter Cambridge at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | LL.M.留学準備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

LL.M.留学準備 - 留学先の選び方 (1)|考慮しておくべき要素

ここでは、社会人の方で、法律事務所や企業がスポンサーとなってアメリカのLL.M.へ1年ないし2年程度留学するというおそらく日本人に最も多いと思われるパターンを念頭において、ロースクール選びの基準となる要素を挙げてみたいと思います。

(1) 日本人卒業生の数

一番にこの項目を挙げることについては不思議に思われる方もおられるかもしれませんが、英語での意思疎通がそれほど得意ではない多くの日本人留学生にとっては、これまでその大学に日本人卒業生がどれだけいるかというのが思いの外重要です。これにはいくつか理由があります。

- その大学が留学生(特に日本人)の扱いに慣れている可能性が高い

具体的には、大学オフィスが多くの日本人のニーズをすでに理解していてその上で授業の履修プランを一緒に検討してくれるとか、先生方が日本人の標準的な英語のレベルを理解した上で対応して下さるなどです。

私が通ったボストン大学 (Boston University) の場合は、留学生の扱いに慣れたアシスタント・ディーンがいて、一人一人面談の上履修科目を決めたり、話をする機会を多く設けてくれたりするなど、親身に接してくれて大変ありがたかったです。

- NY Bar Exam を受ける上で支障が少ない可能性が高い

NY Bar Exam を受ける場合、NY Bar Exam の受験資格要件は意外に詳細で、しかも頻繁に変更されることに注意しなければなりません。もし、直近ですでにその大学の日本人留学生が Bar Exam を受験できているようであれば、カリキュラムには問題がない可能性が高いです。また他の日本人からのノート等の情報提供にも期待できます。

- 先輩方から様々なアドバイスをもらえる可能性が高い

Bar Exam に関する情報の他、授業の履修上の注意や、授業のアウトライン(授業を受講した学生が作成したまとめノート)を融通してもらえるかもしれません。また、学生生活を送る上で、あるいはアメリカ生活を送る上で、ちょっとした問題は日常的に発生するので、言葉の壁なく相談できる人がいるとそれだけで心強いものです。

- 出願準備をしやすい可能性が高い

たとえば、出願に際して推薦状やエッセイの他に何か特別な書類を用意しなければならないとか、エッセイを書くにしても他校と要求される内容や形式が大きく異なるという大学も中にはありますが、日本人が通常出願しているところであれば、出願に際してそれほど大きなハードルがある可能性は高くなく、出願計画が途中で大きく狂うことはあまりないと思われます。


(2) Bar Exam を受けやすいプログラムか – 受験資格との関係

Bar Exam と一口に言っても州ごとに受験資格が異なりますが、多くの留学生にとって最も一般的なニューヨーク州の試験についてだけ言っても受験資格が事細かに定められています。

2013年4月現在では、1) ABA認定ロースクールで24単位以上を取得していること、2) Bar科目で6単位以上を取得していること、3) 2単位以上の法曹倫理科目を履修していること、4) 2単位以上のリーガルリサーチとリーガルライティングから成る科目を履修していること、5) 2単位以上のアメリカ法制度の入門となる科目を履修していること、あたりが主要な受験資格とされています(厳密な要件については必ず「Court Rules for Admission of Attorneys and Counselors at Law」で確認して下さい)。大学によって、あるいはプログラムによっては、必修科目との関係で特に 2) の要件に抵触する場合もあるようです。各大学はたいてい Bar Exam の受験を考える学生のための情報提供をしているので、受験を予定する場合にはこれらを必ず確認しておく必要があります(たとえば、各大学の授業のうちどれが上記2)の「Bar科目」になるのか等)。

ちなみに、ニューヨーク州では2015年1月以降に弁護士登録をする場合、50時間のプロボノ活動をしていることを登録の要件とする旨をニューヨーク司法試験委員会(BOLE)が決定しました(上記 Rules § 520.16)。今後は、このプロボノ活動をロースクールがサポートしてくれるかどうかも選定の考慮要素になるかもしれません。


(3) Bar Exam を受けやすいプログラムか – 受験勉強との関係

多くの人の場合、Bar Exam の勉強は春学期が終了した後に集中して行うことになります。大学の中には春学期が5月に終わるところと6月が終わるところがあるようなので、6月終了の場合は試験勉強に集中できる期間が短くなることに注意すべきです。

また、卒業要件として論文の提出があるかどうかも、直前の試験勉強に影響する可能性があります。


(4) 大学の所在地 – 生活環境等との関係

アメリカは大変広いため、場所によって雰囲気や生活スタイルがずいぶん異なります。思いつくものをいくつか挙げてみます。

- 車の運転が必須か、なくても暮らしていけるか

アメリカの場合は多くが車の必要な地域だと思った方がよいかもしれません。鉄道等の公共交通機関は限られたところにしか存在しません。車が必須ということになると、通学、買い物と何をするにも車の運転が必要だということになります。特にご家族がいらっしゃる場合には十分考慮した方がよいと思います。

- 気候

アメリカ全土に人が住んでいるので通常そう大きな問題ではありませんが、体の問題とかお子さんを気遣う必要があるといった場合には考慮した方がよいかもしれません。アメリカの気候は、寒暖の差や乾燥・湿潤の違いなど、バリエーションが様々あります。

- 日本食・日本の物の入手のしやすさ

日本の食材や雑貨類とほぼ同じものであればだいたいアメリカにも代替品がありますが、日本の物そのものを入手しようと思った場合には、日系スーパーなどの限られた場所に行かないと入手できません。一般的には、日本の物資は西海岸の方が入手しやすいようです。

- 日本からの直行便の有無

もしご家族がいて留学期間中に日本への往復をする必要がある場合には、ご家族がどの程度英語と飛行機に慣れているかに応じて考慮しておくとよいかもしれません。アメリカの飛行機は、ちょっとした天候不順や機材繰りで遅延することも多く、またロスト・バゲッジも時折起こります。トランジットがあるとその分こうしたリスクを受けやすくなり、トラブルに巻き込まれやすくなりますが、直行便であればそうしたトラブルに遭う可能性は低くなります。
posted by Porter Cambridge at 00:54| Comment(0) | TrackBack(0) | LL.M.留学準備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

LL.M.留学準備 - 留学先の選び方 (2)|考慮しておいてもよい要素

ここでは、留学先の選び方(1)と同様、社会人の方で、法律事務所や企業がスポンサーとなってアメリカのLL.M.へ1年ないし2年程度留学するという前提の下、ロースクールを選ぶのに際して考慮しておくと場合によっては良いかもしれない要素を挙げてみたいと思います。

(1) ランキング

アメリカのロースクールにもランキングというものが存在します。最も有名なものは、「U.S. News」の「Best Law Schools Ranking」です。ただし、法律事務所もしくは企業派遣の人がこのランキングを見る場合には、いくつか注意を要する点があります。

その一つが、このランキングは基本的にJ.D.プログラムのランキングであるという点です。ロースクールは3年間のJ.D.コースが中心のため、このランキングもJ.D.プログラムの評価で出来上がっているようです。従って、LL.M.プログラムの充実度やLL.M.修了生の進路など、LL.M.固有の情報は示されていません。J.D.とLL.M.とでは学生の構成もプログラムの目的も大きく異なっているので、このランキングからだけではLL.M.プログラムの満足度を知ることはできません。(LL.M.修了後、現地アメリカでの就職先を探す人の場合にはもしかするとこのランキングが影響するのかもしれません。)

とはいえ、ランキングで上位の大学は有名大学であることが多く、となるとABA認定ロースクールで、留学生にも人気があって、日本人の学生や卒業生も多い、という傾向にあるかと思います。したがって、まずはランキング上位の大学を中心に調査を始める、というのは悪くない方法だと思います。

ちなみに、LL.M.プログラムについてランキングは存在しないのかというと、一応「American University Admissions Program」というものが存在するようです。


(2) 専門分野に特化したプログラム

たとえば、知的財産法を集中して学びたいといった場合はそのようなプログラムを持った大学を探す必要がありますが、アメリカ法の基本科目を広く学びたいということであれば、多くの大学はそのようなニーズに合ったコースを用意しているようですので、特に意識する必要はないと思います。


(3) 留学生の出身国比率

これは実際に授業が始まってみないとわかりづらいのですが、自分がどういった留学生活を送りたいかと強く関係してくるので、実は割と重要です。LL.M.には世界中から万遍なく学生が集まって来るのかと言えば、必ずしもそういうわけではないようです。

加えて、自分が入学する年に日本人が自分しかいないのか、数人いるのか、LL.M.生のかなり多くを占めるのか、によっても学生生活は違ってくることが予想されます。

とはいえ、学生の出身国構成がどうなっているかは行ってみるまで普通はわかりません。もし、複数の大学から入学許可をもらい、どこに行くのか迷う状態になった場合には、事務局に入学許可者の概要を聞いてみるのも一案かと思います。


(4) J.D.とLL.M.の区別の仕方

これも行ってみるまでわからないことがほとんどですが、話を聞くと大学によって方針は様々なようです。

- J.D.の授業を取れるかどうか

私の通ったボストン大学 (Boston University) の場合は、制度上はLL.M.もJ.D.の授業のほぼ全てを取れるようになっています。ただし、履修選択の過程で行われるアシスタント・ディーンとの面談の中で、LL.M.には難しいと思われる授業は選択しないよう勧められます。

おそらくはボストン大学のようなパターンが一般的かと推測しますが、もしJ.D.の授業が全く取れないとなると、履修できる科目の幅が減ってしまう可能性がありますので、この点も一応気にしておいた方がよいかもしれません。

- LL.M.への指名の仕方

特にJ.D.と一緒に授業を受けることになる場合、留学したてのLL.M.がJ.D.と全く区別無く扱われるとすると大変つらいです。また、大学の側としても、授業がスムーズに進まない原因にもなってしまいます。そのため、LL.M.を何らかの方法で区別して取り扱うところは多いのではないかと推察します。

ボストン大学の場合は、教授により、1) LL.M.は当てない、2) LL.M.も当てるがJ.D.への当て方とは区別する、3) LL.M.とJ.D.を区別しない、とポリシーを定めているようで、学生はアシスタント・ディーンと相談しながら自分に合った教授の授業を履修していました。
posted by Porter Cambridge at 00:55| Comment(0) | TrackBack(0) | LL.M.留学準備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

LL.M.留学準備 - 留学先の選び方 (3)|考慮する必要のない要素

留学先を何を基準に選ぶべきかという考慮要素は「留学先の選び方(1)(2)」に記載しましたが、一方で、一見考慮すべきように思われるもののその実大して重要ではない要素というものもあります。


(1) ABA認定ロースクールかどうか

Bar Exam を受ける場合にはABA認定ロースクールを修了しないと受験資格が得られないそうなので、本来は重要な要素です。ただ、日本人が普通留学するロースクールを選ぶ限りでは、ABA認定でないロースクールは無いはずですので、よほど変わったロースクールへ行こうとしない限りは気にしなくて大丈夫だと思います。


(2) どの州の大学がよいか

ご存知のとおりアメリカは大半の事項について各州に権限があり、契約法、会社法、刑法その他基本法のほとんどは各州ごとにルールが存在しています。となると、たとえば「あまりビジネスの盛んでない州に行くと実務であまり使われない州法を学ぶ羽目になるのではないか」とか、「NY Bar Exam を受験するならニューヨーク州の大学がいいのではないか」とか、思われるかもしれません。しかし、地理的な環境は抜きにして、州によって学ぶことが全く変わるということは、基本的にないと考えてよさそうです。少なくとも私の通ったボストン大学について言うと、授業の中でマサチューセッツ州法が扱われることはほとんどなく、あったとしても何かの具体例でたまたまマサチューセッツ州の刑法などが取り上げられるといった程度です。

NY Bar Exam にはニューヨーク州法からの出題もあるので、Bar Examを受験する場合には最終的にニューヨーク州法も学ぶ必要に迫られます。しかし、各州法もコモン・ローのメインストリームを意識して特別なルールを定めているのが通常です。したがって、まずはごく一般的なコモン・ローを学ぶのが先で、それはどのロースクールに行ったとしても、おそらく同様のケースブックで同じような内容を学ぶことになるはずなので心配はいりません。

図書館にはもしかするとその州の文献が中心に置かれていることがあるかもしれません。ボストン大学の図書館には「Massachusetts Practice Series」などが開架図書として収蔵されている一方、他州の一次的資料はほとんど見当たりません。しかし、Bar Exam との関係に限って言えば、予備校のテキスト以上にそうした文献に当たって勉強する時間はまずないので考える必要はありません。また、調査・研究目的との関係でも、Westlaw等のオンライン・データベースを用いれば他州の資料にも容易にアクセスができますので、あまり考える必要はないと思います。


(3) その大学がどの分野で有名か、著名な教授がいるか

契約法や訴訟手続といったアメリカ法の基本を学びたい、という大半の留学生にとっては、その大学が特定の分野の研究実績で評判が高いことや高名な教授が在籍しているといったことは、あまり考える必要がないと思われます。

2セメスター制の1年間のLL.M.プログラムでは8〜10科目程度を履修するのが通常で、そのうち2〜3科目の必修科目があったりすると、基本的な科目を履修するのがせいぜいとなります。2セメスターのプログラムの中で、高度に専門的な科目を十分に履修することと両立するのは難しいと考えた方がよいかもしれません。NY Bar を受けるとなるとなおさらです。となると、基本的な科目であればどのロースクールも十分な授業を提供していますし、その内容も、アメリカ中で使われている著名なケースブックを利用してなされることが普通なので、大学によって教わることが大きく変わるということはないはずです(もしメインストリームから大きく逸脱してしまうと、ABAの認可が得られなくなるような気がします)。教える教授によって取り上げるケースが変わることはもちろんあり得ますが、そこまで気にしても仕方がないように思います。


(4) 大学の所在地 - 学習環境との関係

たとえば、勉強をする上で都会の方が大きな書店があって有利なのではないかとか、予備校の授業が利用しやすいのではないかといった心配があるかもしれませんが、多少の違いはあるものの、ほとんど影響はないと考えてよいと思います。

書籍については、普通の学生の場合、授業で指示されたケースブックを読むだけで精一杯で、それ以外に多くの本を購入するようなことにはおそらくなりません。もし参考書(study aid と呼ばれる)の類が必要になっても、メジャーなものは大学の書店で扱われているはずです。あるいはAmazonで注文すれば足ります。他方、たとえばボストンにはそれなりに大きな書店はいくつかあるものの、日本に比べて専門書のラインナップが充実しているとは言いがたく、街中の書店に専門書を買いに行くことはまずありません。

予備校について言うと、最大手Barbriの場合、ニューヨークで生講義がある他は、各大学のキャンパスでビデオ講義を聴講するのが一般的な受講スタイルとなります。ビデオ講義は大抵の大学で実施しているようですので、あらかじめ気にする必要はないと思います。また、最近はインターネットでも授業が視聴できるようになっています。


(5) 図書館の蔵書数

一見、蔵書数が多い方が勉強や論文執筆が有意義に進みそうに思えますが、案外これが重要でない理由がいくつかあります。

第一には、図書館の蔵書の大多数は、膨大な判例集と大学のロージャーナル等の論文集で占められているためです。これらは、ある程度の規模の大学であれば基本的な文献として取り揃えているはずであり、公表された蔵書数にかかわらずこれがない大学は考えられません。

第二は、判例集やロージャーナル等蔵書の多くは、今ではインターネットベースのデータベース(WestlawやLexisNexis)で参照可能であり、しかも今ではデータベースでの調査手法を用いることがほとんどだからです。私の大学の図書館にも膨大な蔵書が収蔵されていますが、これら紙ベースの文献を頻繁に調査している人をあまり見たことがありません(私自身はリサーチペーパーを書く際、紙ベースの文献を探し回って手がかりにするのが好きですが、最後はWestlaw等で検索した情報を利用してペーパーを書き上げていました)。

第三には、判例集やロージャーナル以外のレファレンス(アウトラインやホーンブックなどと呼ばれるもの)が大量にあったとしても、普通に授業を受けて勉強する限りにおいてはそこまで読んでいる暇はまずないからです。ロースクールの授業は大抵の場合ケースブックを中心に進められます。日本の判例百選やその他判例集、ケースブックをイメージすると、これ以外に基本書の類がなければ学習は進められない気がしてきます。しかし、アメリカのケースブックの場合、ケースブックをじっくり読めば必要な内容は一冊で学べる仕組みになっています。

もちろん、例外として、研究にも取り組んでみたいということになると、自分が取り組みたい分野の蔵書が充実しているかどうかは問題になってきます。おそらく、設置されている授業科目とある程度関連しているはずです。また、日本法を含めた外国法との比較をしてみたい場合だと、外国文献は大学によって蔵書に濃淡があると思われますので、事前に調べておいた方がよいと思われます。たとえば、日本語文献となるとボストン大学ではほとんど見たことがありません。
posted by Porter Cambridge at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | LL.M.留学準備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。